■後遺障害慰謝料の支払基準の比較
◆計算式
①有職者または就労可能者②18歳(症状固定時)未満の未就労者
【基礎収入】
原則として,事故前の現実収入額とし,現実収入額以上の収入を将来得られると認められれば,その金額を算定基礎とします。
【労働能力喪失率】
自賠責保険の後遺障害等級に対応する労働能力喪失率を基準として,職種,年齢,性別,障害の部位・程度,減収の有無・程度や生活上の障害の程度などの具体的稼働・生活状況に基づき,喪失割合を定めます。
詳しくはこちらをご覧ください。
【労働能力喪失期間】
始期・・・症状固定日。ただし,未就労者の場合には原則18歳(大学卒業を前提とする場合は大学卒業時)とされます。
終期・・・原則として,就業可能年数まで。
◆就労可能年数とライプニッツ係数表
(注)1 18歳未満の有職者及び18歳以上の者の場合の就労可能年数については、
(1) 54歳未満の者は、67歳から被害者の年齢を控除した年数とした。
(2) 54歳以上の者は、平均余命年数の1/2とし、端数は切上げた。
2 幼児・児童・生徒・18歳未満の学生及び働く意思と能力を有する者(有職者・家事
従事者・18歳以上の学生以外)の場合の就労可能年数及びライプニッツ係数は、下
記(例)に準じて算出する。
(例) 3歳の場合
(1) 就労の終期(67歳)までの年数64年(67年-3年)に対応する係数 19.119
(2) 就労の始期(18歳)までの年数15年(18年-3年)に対応する係数 10.380
(3) 就労可能年数49年(64年-15年)
(4) 適用する係数 8.739(19.119-10.380)
◆事故後の減収の不発生の評価
後遺障害逸失利益は,基本的には,収入,労働能力喪失率割合,労働能力喪失期間という3要素とはしますが,労働能力の低下の程度,収入の変化,将来の昇進・転職・失業などの不利益の可能性,日常生活上の不便などを,総合的に考慮して,算定が行われます。すなわち,障害の等級評価,減収発生の有無などにより,具体的な不利益を考慮しないで機械的に逸失利益を算定すべきではないとされています。特に,減収の不発生の場合直ちに損害不発生とすべきではないとされています。(最判昭56・12・22判時1031・123参照)。
減収がないという理由で賠償を拒否されている場合は,弁護士にご相談ください。
■死亡による逸失利益の算定方式
◆計算式
【基礎収入】
原則として,事故前の現実収入額とし,現実収入額以上の収入を将来得られると認められれば,その金額を算定基礎とします。家事従事者,学生等の現金収入がない方の場合は賃金センサスの平均賃金額を算定基礎とします。
【生活控除率】
事故に遭われた方が,生きていらっしゃれば生活のためにかかっていたはずの生活費相当額を控除するものです。控除率は30%から50%程度とされています。
【就業可能年数】
原則として,67歳まで就業可能とされています。
※「就労可能年数に対応するライプニッツ係数」については,後遺障害逸失利益と同じく,有職者または就労可能者については,67歳までの稼働期間に対応するライプニッツ係数によるのに対し,18歳未満のの未就労者の場合は,事故時から67歳までのライプニッツ係数から18歳に達するまでのライプニッツ係数を控除する必要があります。
◆平均余命年数とライプニッツ係数表
(注)平均余命年数は「第20回生命表」による平均余命とした。